「総務情報班」活動報告(まとめ)2011/04/26

東日本大震災における宮城県歯科医師会の初動と総務情報班の活動についての報告

*平成23年3月12日の震災翌日、宮城県歯科医師会東日本大震災対策本部招集。
 宮歯大規模災害対策本部編成表。担当事務職員も確定。

宮歯災害対策本部編成表(23.3)

宮歯災害対策本部編成表(23.3)

*日歯、東日本大震災災害対策本部も間髪おかず立ち上がり、その対応を他の被災県(岩手県、福島県)と連動。
 日歯東北地方太平洋沖地震対策本部組織図 日歯連絡系統フロー図

日歯東北地方太平洋沖地震災害対策本部組織図

日歯東北地方太平洋沖地震災害対策本部組織図

日歯連絡系統フロー図
日歯連絡系統フロー図

*刻々と変化する県内震災被害状況等を把握し、順次対策本部に報告。避難者の数等は後の活動に参考。

*宮城県における避難所の場所の特定をインターネットにより更新し、その都度報告。口腔ケア並びに支援物資運搬に参考となる。

*宮城県災害対策本部との連絡も密にし、会長の指示等を報告。後にこの部署は医療救護班に引き継ぐ。

*東北大学との連絡も早急に確保し身元確認班、医療救護班のその後の活動に寄与。

― 個別の対応 ―
(宮歯会館関係)

*会館内部被害状況確認をすぐに行い、危険個所特定。
 一般市民並びに事務職員に二次的被害を与えない様、危険地区の隔離、閉鎖。

*建設会社との打ち合わせをすぐに行い、会館の応急危険度判定を受け、その指示に従い、今後発生するであろう余震に対しての安全の確認と事務職員の職務継続上の安全確認。

*立入禁止箇所への対応は、がれきの撤去と危険区域への立入禁止の明示を被災翌日、本会職員と行った。
 数日後、建設会社による本格的な詳細検査を行い、当会館は修理・補強等の対応で十分耐え得るとの報告を受けて立入禁止箇所への対応も行う。損保会社の被害状況視察にも立ち会い、損保会社としての見解を聴取。

*建設会社との会館修復の打ち合わせを毎週行い、補修個所・工期の暫定的な確定。第1期会館修復工事開始

*第1期工事の承認を常務理事会・理事会において、事後承認となった理由
 1 被災直後でも会館使用を断行しなければならなかった為
 2 本会事務職員並びに外を歩く市民の安全を第一に考えた為
 3 4月より学院の新入生、在校生の授業が始まるため、早急な工事に着手する必要があった為
 4 簡易診断並びに詳細検査において、当会館が修理・補強により今後起こりうる震災に十分に耐えられる事が分かった為
 5 今後、会務に必要な会議の場を確保する必要があった為

*3月28日より、衛生士学院を中心とした第一期工事に着手。これは必要最小限の工事で、本格的な工事は学院夏休み期間中に行う。

*宮歯国保組合、仙歯事務所移転検討、国保は現在2階の会議室4に仮事務所を構える。

(援助物資関係)
*被災後すぐに会館内の歯科用品備蓄の確認

*災害時の医療救護活動に関する協定書に従い商工会に対し災害援助物資の保管の確認と運搬、さらに医療救護への協力を要請、ガソリン不足を理由に出来る範囲での協力と決定。ガソリン事情も回復につき、これからは協定書に従い行動する予定。

*歯科用品商協同組合に対し現在在庫している歯科用品のうち、口腔清掃用品を中心に全て搬入するよう指示。その時点で、各支部からの支援物資並びに避難所からの要望等は把握済み。

*全国展開の各メーカーへ支援物資の依頼、GCが被災4日目に4トン車で到着。歯科関係用品以外にも支援物資多数あり、被災地初期対応に非常に貢献大。

*全国各地より支援物資搬入、1階口腔保健センターにて援助物資の保管及び管理を開始。

*救急要請のある各支部への支援物資の供給開始。交通手段が足かせとなるが、現在までなんとか供給続行。

*全国各地からの支援物資が、当初運送会社支社止めになったため、受け取りの行程が必要となり人員が多く裂かれた。

*この部門は後に医療救護班へ引き継ぐ。

*全国各地よりの義援金、支援金、見舞金は会計課に集約し、そこで管理並びに簡易的なお礼を担当。

(各支部会関係)
*電源復旧後、会館のパソコン等精密機器の復旧に努め、数時間で機能回復。

*会員の安否確認は、4月5日現在、死亡者4名、不明者2名と判明。

*日歯に対する連絡の遅延は、慎重を期したため。

*各支部会員の被害状況確認は2回に分けて調査。現在も調査継続中、ほぼ半数の会員が何らかの被害をうけていると判明。1ケ月後の大きな余震に対する被害状況も現在収集中。

*被災した会員には、生活の一時金として宮歯共済の一部を審査なしで供給するよう会員支援班に提案。

*各支部会連絡網については長時間の通信不能のため、まず壊滅状態にある支部会員の中から連絡を受けた会員より、そこから各支部役員への連絡網を確立。現在は各支部にも宮歯と同じ班が確立し、連絡が容易に。

*各支部支援物資要請に対し、本会関係の車両に緊急指定を取り、燃料を確保して対応。燃料不足のため、被災地より取りにきていただいた場合もあった。

*震災初期における各支部診療可能な歯科医院の情報収集を行い、テレビテロップに流す。テレビテロップにより、宮歯に対する問い合わせも最小限で済んだ。

*4月6日現在の歯科診療所稼働率は、68、71%。

*会長からの励まし並びにこの震災に対する宮歯の姿勢をホームページ上で動画配信。

(日本歯科医師会関係)
*日歯に対する連絡方法に関しては、日歯でメーリングリストを開設。他県の情報がこのメーリングリストを通して入ってくるため大変参考にもなり、励ましにもなった。

*日歯に対し、1回目の支援物資要請。この作業も2回目からは、医療救護班に引き継ぐ。
*日歯に対する報告書の提出を最初は3時間おき、後に1日に1回行う。

*4月8、9日、日歯より宮城の災害視察。視察団と本会災害対策本部との合同意見交換会を開催し、宮歯側の要望等伝達。

(県警との身元確認班立ち上げ)
*震災翌日より宮城県警からの要請による身元確認班による身元確認作業開始。

*県警並びに東北大学との身元確認に関する打ち合わせを行う。

*身元確認班の日程の調整等に初動の段階で総務情報班が参加。身元確認班は早い時期に独立し、班独自の活動開始。

(衛生士学院、宮歯国保組合、仙歯関係)
*関連団体の修理個所を全て点検し、危険個所の特定。

*学院の協議会開催。行事日程の変更、卒業式の簡素化、入学式の延期等を決定。
*学院生、並びに新入学生の安否確認は、死亡等なし。自宅流出が在校生、新入生合わせて数多くの報告を受けた。入学辞退はなく、それぞれの生徒に対する入学金、授業料の減免は個別に学院が対応。

*建設会社との打ち合わせには、それぞれの事務方の代表が参加。

*宮歯国保組合、仙歯事務所の移転も検討し、現在宮歯国保は会議室4に移転。

(技工士会、衛生士会との対応)
*災害時の医療救護活動に関する協定書に従い、医療救護活動に関して参加準備要請。

*3月22日現在稼働可能な技工所を全会員に周知。

(事務職員の休日出勤等の割り振り)
*事務職員もライフラインが断たれ、自分の生活もままならない中、頑張っております。震災以来、4月24日までは休日を返上し、土日も半数出勤体制を維持しておくつもりです。

(会館の炊き出し用食料の確保)
*山形県歯科医師会の厚意により、震災から2週間職員及び役員の昼食は確保され、職務に専念。

以上、震災に対する初動と総務情報班の対応を説明しましたが、
1 ガソリン不足により活動の規制がかかった事
2 通信機器の寸断時間が長かったため連絡網の確保に時間がかかった事
3 役員、事務職員も全てライフラインが寸断され被災者であった事
この3点により全てスムーズにいったとはいえませんが、この悪条件のもと初動の対応はどうにか達成出来たものと考えます。今回、一番感じた事は、物事の大小に拘らず、現場に決断の下せる人が詰めているということが、災害時には特に不可欠であるという事、また支援物資も情報もスピードとの戦いであって時が過ぎてしまえば価値のないものに変わってしまうという事を痛感させられました。

(今後の対応)
*震災後、約1ケ月、本部に詰める事によりほぼ初動の業務は完了したと考えます。

*会員安否確認、会員の被災状況報告書については引き続き終了するまでは行います。

*総務情報班としての業務である災害情報の収集、報告、収集情報の整理、関係機関との連絡、各班への伝達、各支部対策本部との連携、各雑務については、これまで通り行っていきます。

*今後は医療救護班、会員救援班がメインとなり活動していく事が予想されますので、そちらの方のサポートに回りたいと思います。

*今回の被災に関する一連の対応に対する報告書が必要になると思われますので、準備にかかりたいと思います。
*現在ある大規模災害マニュアル、並びに大規模災害対策本部規則と実際今回行動してみた結果を比較すると、いろいろな所に齟齬が生じております。見直しの必要があると思われますので今後のために対応していきたいと思っております。

 平成23年4月26日                                             以上